シン読解力と学力:「シン読解力」が学力を左右する

リーディングスキルテスト(RST)の受検者は、2024年にはのべ50万人を超えました。そのデータを分析した結果、「シン読解力」が高いと「学力」も高くなる、ということが明らかになりました。例えば、RSTの6分野の平均能力値と小中学生の学力テストの総合点との間に0.7を超える強い正の相関が発見されました。

事例①学力調査とリーディングスキルテストの相関

埼玉県戸田市で埼玉県の学力調査とRSTの能力値との相関を調査したところ、どの学年、どの教科でも、RSTの6分野との相関係数が0.5を超えました。さらに、RSTの6分野の能力値の平均をとった「RST6分野の平均能力値」とは0.6から0.8の強い正の相関がありました。日本語で書かれた「学習言語」の読解力しかRSTは測っていないのにもかかわらず、英語の成績ともかなり高い正の相関がみつかりました。

(新井紀子『シン読解力:学力と人生を決めるもうひとつの読み方』p.113より抜粋)

 

学習言語とは?

 

事例②リーディングスキルテストと有名私大のべ合格者数

下図は、B県立高校の有名私立大学の合格者数と各校の「RST6分野の平均能力値」の散布図です。この散布図から、シン読解力が高い生徒が多い学校ほど、いわゆる有名私大学に多く合格者を出していることが読み取れます。

 (新井紀子『シン読解力:学力と人生を決めるもうひとつの読み方』p.123より抜粋)

 

上記事例のほか、薬剤師国家試験の合否とRSTの能力値に正の相関があることや、RSTを受検した全国の教育委員会・学校において、全国学力学習状況調査とRSTの能力値との間に正の相関があることが報告されています。これらの結果は、「シン読解力」が学力を左右することを示しています。