「シン読解力」とは、教科書や辞書、新聞などで使われる「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書」を読み解く力のことです。シン読解力は、自学自習する上で欠かせないスキルです。リスキリングが求められる時代には、子どもだけでなく大人も身に付けておく必要があります。
リーディングスキルテスト(RST)は、シン読解力を測定するテストで、6つの分野でシン読解力を測定してそれぞれの「能力値」を推定します。これまで50万人以上が受検をし、その研究成果から以下のことが明らかになりました
- シン読解力は、学力に直結する。
- シン読解力は、進学しうる高校や大学の偏差値に直結する。
- シン読解力は、正しいトレーニングによって大人でも伸ばすことができる。
ここでは、『シン読解力:学力と人生を決めるもうひとつの読み方』(新井紀子著、東洋経済新報社、2025年)で発表したリーディングスキルテストに関する研究成果の一部をご紹介します。
読解力とシン読解力
教育のための科学研究所では、「知識や情報を伝達する目的で書かれた文書」を読み解く力のことを「シン読解力」と定義しています。教科書や授業など教科学習の場面で使われる言葉を「学習言語」といいますが、シン読解力で読み解く対象は、国語で扱われる物語文ではなく、教科書や事典、辞書、新聞記事、ビジネス文書、行政文書のような、解釈が一意に定まるような文書です。そうした文書では、「~とは、・・・である」「・・・を~という」のような定義文と例を用いて新出用語を定義するという意味で自己完結的です。例えば、「養殖とは、魚・貝・海藻などを、人工的に育てふやすことである。」(三省堂『例解小学国語辞典 第八版』参考)「2でわり切れる整数を偶数といいます。」のような文が定義文です。初学者でも自学自習できるように配慮されています。また、国語の題材に頻出する「気高い」「醜い」のような主観的な言葉を排して書かれることも特徴のひとつです。シン読解力は、従来国語科が目指してきた読解力とは異なる概念なのです。
リーディングスキルテスト(RST)では、このような文書を正確に読めるかどうかを、6つの観点から診断します。RSTに関する詳細はこちらをご参照ください。