板橋区学びのエリア「板橋のiカリキュラム開発重点校」研究授業が実施されました。
東京都板橋区では、令和元年から全区立小中学校で、すべての小学6年生から中学3年生、加えて教員もリーディングスキルテストを受検し、9年一貫の「読み解く力」の育成を通じて、学力向上・教員の指導力向上に取り組んでいます。特に、多様なバックグラウンドを持つ生徒が近年増加傾向にあることから、「言えばわかる」「読めばわかる」「やればできる」という前提を一度外し、リーディングスキルテストの6分野7項目の観点を意識的に授業に取り入れながら、生徒が確実に活用可能な形で知識やスキルを身に着けられるようなカリキュラムや授業案の開発を行っています。
今日は、板橋第六小学校で、小学1年生の算数、小学3年生の理科、小学4年生の理科、小学5年生の社会科で、「読み解く力」を育成する研究授業が行われました。
小学校1年生の算数では、飯田泉教諭による「ずをつかってかんがえよう」の授業がありました。小学1年生では、「1つ、2人」のような基数以外にも「3番目、5回目」のように順序数としての数を学びます。日常生活の中で、よく使う概念にもかかわらず、算数では非常につまずきやすい箇所として知られています。本単元の目標は「順序数や異種の数量を含む加減の場面、求大や求小の場面についても加減計算が適用できることを理解し、それを用いることができる」ことです。今回は全体で6時間の授業のうちの5時間目の授業が研究授業として公開されました。
飯田教諭は、次の2つの文章が同じ意味か、生徒一人一人に問いかけました。「同義文判定」の活動として位置づけたそうです。
多くの学校では、この文章題を深く読み解く前に、おはじきや図を使って、直感的に違いを理解するように促します。しかし、今回の授業では、「4ばんめ」と「まえに4人」という言葉の違いを意識させて、同義か異義かを一度判断させた上で、図をかかせる活動に入りました。図を使って考えた上で、改めて2つの文章が同義か異義かを確認しました。
これについて、飯田教諭は、「おはじきを使う、このような順で図を書こう、という段階を踏むと、授業中はわかった気持ちになる児童が多い。けれども、一人で問題に向き合わせると、どちらの問題にも4+3=7と答えてしまう児童が少なくない。言葉の違いをしっかりととらえた上で、図を書くという手続きを踏むことで、単元の目標である『図をつかって考える』が達成できるように工夫した」と語っていました。
そもそも文章題の文章が読み解けないことから算数につまずく児童が少なくありません。こうした小さな努力の積み重ねで、文章題の文を正確に読み解き、正しく図に変換し(イメージ同定)、そこからスムーズに解くことができると良いですね。1年生からの「読み解く」トレーニングの重要さを実感した授業でした。
板橋第六小学校では、週に一回、全校で朝の時間に3分間の視写の時間を取り入れています。各学年で、3分間で正確に写すことができる文字数の目標があり、ノートに書いて提出したものを担任の先生がチェックしています。小学1年生では、①鉛筆を正しくもつ、②筆圧をかけて書く、③字の形を正確に写す、④マスの中におさまるように書く、など、鉛筆とノートを使って、文章を書く上での基本を身に着けていきます。鏡文字を書いたり、促音や拗音でつまずく1年生は少なくありません。日常的に視写をし、訂正することで、2年生への進級がスムーズになることを期待します。