リーディングスキルフォーラム ふくしま2021 が開催されました
2022年2月27日(日)「リーディングスキルフォーラムふくしま2021」が開催されました。今回は、コロナ禍ということでオンライン配信にて実施されました。
当日は福島県内をはじめ全国から約130名方が参加され、盛況のうちに開催することができました。
まず、当研究所所長の新井紀子の挨拶があり、その後、rst-laboふくしま(通称:F-Labo)の会員である、福島県教育庁義務教育課の加藤政記指導主事から、F-Laboの活動内容についての報告がありました。
F-Laboは、「子どもたちの読解力に対する危機感」を持っている福島県内の小・中・高・大の先生方のRST勉強会であること、読解力向上を意識した授業の在り方を検討することを通して、教員の指導力向上を図り、子どもたちの読解力向上につなげていることなどの説明がありました。
ここ1年はコロナのためにオンラインで開催されることも多くなり、それに伴い県外の自治体からの参加も増えているとのことでした。
講演の部では、まず、『共書きそれは聴写視写 ~書かなければ先に進まない~』と題して、NPO法人授業高度化支援センター代表の鏑木良夫先生より、共書きの効果、共書きの手順、共書きの意義について、具体的な授業例も交えてご講演いただきました。
参加者からは、「実際に聴写を経験したことで、児童生徒が板書を写す時間は生徒にとって頭を使わないただの作業の時間だったということに気づかされた。言葉を意識化させるために今後授業に取り入れていきたい。」などの感想が寄せられました。
次に、『RSTの観点で教科書を読み授業改善に活かす ~係り受け解析・照応解決に着目して~』と題して、当研究所主席研究員の菅原真悟より、リーディングスキルテストの6分野7項目についての説明、記述式テストの結果から見える児童生徒の読解力の問題点、さらには「推論」と「推測」の違いや「イメージ同定」と「イマジネーション」の違いについての話がありました。
さらに、教師がRSTの観点で教科書を読みなおし、発問を工夫し授業づくりすることの大切さについて解説がありました。
参加者からは、「具体的な例が豊富でわかりやすかった。RSTの出題意図がよく分かり、RSTの理解が深まった。イメージ同定とイマジネーションの違いなど勉強になった。」などの感想が寄せられました。
最後に、東京学芸大学准教授の犬塚美輪先生より『教科の読解力育成を評価の観点から考える』と題した講演がありました。
「なにをなぜ評価したいのか明確化しよう」ということで、アメリカの教育心理学者Bloomの評価理論(診断的評価、形成的評価、総括的評価)にあてはめながら、多くの示唆に富んだご講演をいただきました。
最後、「Take Home Messages」として以下の4点が重要であるとまとめられました。
○測定・評価のためには明確な到達目標が必要
○RSTの意義は、主に診断的評価にある
○評価することは明示して教える。教えたことは評価する
○意識的に形成的評価を行う
参加者からは、「RSTのスコアを向上させることが目的だと思っていたが、今回診断的評価で有効であることがわかった。日々の授業でカリキュラムとつなげて評価を考えていきたい。」などの感想が寄せられました。
今後、F-Laboのような取り組みが全国に広まり、RSTを軸とした授業研究・授業実践が広まっていくことを期待したいと思います。
F-laboのロゴマーク。たちあおいの花言葉:「大望」「豊かな実り」。