2020年10月の記事一覧
F-labo 10月例会を開催しました(rst-labo ふくしま)
rst-labo ふくしま(通称:F-labo)では、福島県内の小学校から大学まで多くの先生方がリーディングスキルについて自発的に学びあいを行っています。
10月の例会が郡山市富久山総合学習センターで開催されました。郡山市のガイドラインに基づき、ソーシャルディスタンスを取りつつ毎月開催しています。
今回のF-laboは、授業実践報告2件とワークショップの構成で開催しました。
まず、岩根小学校の菅野千恵先生から、小学校4年生算数科「ちがいに注目して」の授業についての実践報告がありました。
たいちさんとりこさんは、60枚の色紙を2人で分けて、つるを折ります。りこさんのまい数の方が12枚多くなるようにします。それぞれの色紙の数は何まいになりますか。 |
この問題文を正しく読解させるため、まず、「りこさんのまい数の方が12枚多くなるようにします。」の文を、たいちさんを主語にして同じ意味になるように言い換えさせ、「たいちさんはりこさんより12枚少ない」を引き出します(同義文判定)。
子どもたちは、「60枚の色紙を2人で分ける」という文を読むと、「分ける=割り算」と安易に考え、60÷2=30と計算し、その考えに固執します。そこを、2人の数量関係をテープ図を基に線分図に表すことで、視覚的に問題文をとらえさせます(イメージ同定)。そして、「12枚を引けば(12枚足せば)同量になる」、「合わせて60枚」であることを理解させます。このように同義文判定、イメージ同定の力を使って立式させ、「60-12=48→48は何を表しているか」「48÷2=24→どうして÷2をするのか」「24+12=36→どうして12を足したのか」など、式の意味を問いながら2人の枚数を求めていきます。
菅野先生は、「子どもたちは問題文全体をとらえることができないため、RSTの6分野7項目の複数の力が必要になる」と、子どもたちのRSTの結果を分析し、実態に合わせた授業実践を心掛けているとのことでした。
次に、喜多方第一小学校の渡邉良輔先生からは、これまで行ってきた「学びあい」についての研究に加えて、RSの視点を入れた研究に発展させているという報告がありました。
RSTを実施したことで、子どもたちが抱えている読解力に関する課題について、データ化し顕在化できたそうです。
これまで、読み方の指導についてはいろいろなやり方が提唱されていますが、評価することが難しいため、RSTを評価ツールの一つとして引き続き取り入れていく予定だそうです。
最後のワークショップでは、教育のための科学研究所の目黒朋子上級研究員が、授業準備のためにどのように教科書を読めばよいのか、ワークシートを用いたワークショップを行いました。
ワークショップでは、東京書籍『新編新しい社会5上』の98、99ページを用いて、授業でおさえたい言葉、子どもたちにとって親和性が低い言葉を抜き出し、音読の際の注意点やRSの観点からどのような授業を行えるのかを考えました。
このワークショップを体験した先生方からは「こんな風に教科書を読んだことはなかった。」「校内研修で実施したい。」との感想が述べられ、目黒からは、教員が教科書を丁寧に読み、言葉に敏感になることが大切であるとの助言がありました。(RST事務局)
F-laboのロゴマーク。たちあおいの花言葉:「大望」「豊かな実り」。