「メジャーリーグ問題」または「メジャーリーグ構文」とは、リーディングスキルテスト(RST)の6分野7項目のうち、「イメージ同定」のスキルを測るために考案された、特定の問題を指します。なお、「メジャーリーグ問題」や「メジャーリーグ構文」という呼称は通称であり、学術的な名称ではありません。
「イメージ同定」とは、文と非言語情報(図表など)を正しく対応させる力を指し、従来の「読解力」の文脈では、必ずしも明示的に診断・評価されてこなかったスキルです。
以下が、「メジャーリーグ問題」と呼ばれている問題です。
出典は、2016年発行の「中学生の地理」(帝国書院)の81ページです。
この問題は、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著、東洋経済新報社、2018年)で紹介され、その後、テレビ(ワイドナショー等)やインターネットメディアで繰り返し取り上げられました。その際、日常的に流暢に日本語を使いこなす方々が、右下の図(アメリカ合衆国が28.0%、ドミニカ共和国がおよそ35%と示された図)を選択する例が見られ、話題となりました。
この問題は、提示文の「メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身であ...
「アミラーゼ構文」とは、リーディングスキルテスト(RST)の6分野7項目のうち、文の構造を正確に把握する能力(係り受け解析など)を測るために考案された、特定の問題を指します。ただし、「アミラーゼ構文」という呼称はネットミームであり、学術上そのような構文が存在するわけではありません。
以下が、「アミラーゼ構文」と呼ばれている問題です。
正解は「デンプン」です。中高生を対象とした大規模調査での正答率は16.3%でした。
出典は、東京書籍「新編生物基礎」(19ページ、2016年)で、ちょうど高校入学したての4月ごろに学ぶ箇所からの引用です。
この問題が最初に紹介されたのは、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著、東洋経済新報社、2018年出版)で、それ以降、フジテレビのワイドナショーやAbema Prime、NewsPicksなどで度々取り上げられる度に、日頃流暢に日本語を使う、MCやアナウンサーの方々が誤ってアミラーゼまたはグルコースを選択することでも話題になりました。
この問題はこれまでリーディングスキルテストにおいて項目応答理論に基づき数千人に出題されてきました。その結果から、次のような特長がわかりました。
「習っ...
当研究所代表理事・所長の新井紀子の記事が掲載されました。
その指示はなぜ伝わらないのか?組織に潜む「読解力不足」という見えないリスクの解決策(日本の人事部 キーパーソンが語る“人と組織” 2月24日)
--生成AIの普及やリモートワークの浸透により、ビジネスにおけるコミュニケーションのあり方は激変しました。メールやチャットツールなどによるテキストベースのやり取りが、大幅に増加したのです。しかし、その基盤となる「文章を正確に読み解く力」が、多くの社会人で中学生レベルに留まっているという衝撃的な事実があります。文章を正確に読み解けないと、上司からの指示や研修の内容を理解できず、生産性の停滞やコンプライアンス違反につながる可能性もあるでしょう。国立情報学研究所 教授の新井紀子さんは、文学的読解ではなく、説明文を論理的に解読する「シン読解力」こそが、AI時代の必須スキルであると説きます。読解力が組織の生産性やリスクに与える影響、そしてAIを真に使いこなすために必要な能力の本質について、新井さんに伺いました。
写真提供:『日本の人事部』
当研究所代表理事・所長の新井紀子の記事が掲載されました。
【AI活用の末路】「人間キャンセル界隈」で知性が劣化しないためには(NewsPicks 1月26日)
--2022年11月の公開以来、世界最速でユーザー数を増やし、ビジネスシーンのみならず、日常でも活用されている生成AI。しかし、生成AIは人間とまったく異なる「知性」を持つ。AIは賢いけど、その賢さをどう理解すべきか。身体も感情もないAIを、どこまで信じていいのか。AIを使いこなしながら、人間らしく生きるにはどうすればいいのか。 AI時代に警鐘を鳴らす数学者・新井紀子氏と人間の知性の危機を訴える元東大副学長で社会学者の吉見俊哉氏が、AI時代に人間が「キャンセル」されないための知恵を語り合った。
当研究所代表理事・所長の新井紀子の記事が掲載されました。
東洋経済オンライン(2月4日)「大学進学」への教育投資、回収難の時代が来る?アメリカの"ブルーカラービリオネア現象"日本でも起きるか…AI時代に子どもに必要な教育は
--人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクトディレクターで、AIに代替されない能力として読解力の向上を提唱する国立情報学研究所 社会共有知研究センター長・教授の新井紀子氏は、今話題のブルーカラービリオネアについてこう話す。
「ブルーカラービリオネアは、アメリカでも特に物価の高いニューヨークを中心に使われている言葉です。アメリカでは日本より早くAIシフトが起こりました。また、アメリカはレイオフが比較的行われやすく、労働人口の流動性もあります。
非常に高いAI技術を持つ技術者が(日本円換算で)年収数億円を稼ぐ一方、レイオフされて電気や配管工事の資格を取得して意図的にブルーカラーになるケースがニューヨークやカリフォルニアで見られます」
当研究所代表理事・所長の新井紀子が「2025年度 教育DX推進フォーラム」において講演を行います。参加申し込みが開始されました。日時:2026年3月7日(土)11時30分 ~ 12時30分会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 第2ミーティングルーム(東京都渋谷区代々木神園町3-1)イベント名:「2025年度 教育DX推進フォーラム」演題:「シン読解力」で支える学びの定期健診 ~リーディングスキルテスト×CBT学力テストの有効活用~参加費:無料
講演詳細・参加申し込みはこちらから
2025年度 教育DX推進フォーラム
今年度は「教育DXによる自分らしい学びの実現 ~次期学習指導要領の方向性を考える~」をテーマに、教育の「質」を高めるためのDXを探求します。 Next GIGAに向けた環境整備はもちろん、個に応じた指導を支える教育データの利活用や生成AI、そして先生方が子供たちと向き合う時間を創出するための校務DXなど、現場の願いに応えるプログラムをご用意しました。
当研究所代表理事・所長の新井紀子の出演情報です。日時:#1 2025年12月14日(日)17時~ 中学受験2026〜最新人気校&新常識〜 #2 2025年12月26日(金)17時~ 中学受験「塾の質低下」「対策の早期化」子どもに与える影響は? #3 2026年 1月11日(日)17時~ 中学受験向きか判定「リーディングスキルテスト」とは? ※ 3回に分けて配信されます番組:NewsPicks「EduPassion」<出演者>成田修造(エンジェル投資家)宮村優子(声優)西村創(受験指導専門家)安浪京子(プロ家庭教師)新井紀子(数学者)
--#1 中学受験2026〜最新人気校&新常識〜 中学受験の最新情報をとらえながら、私立校に通う本質的なメリットにも迫りながら、受験指導のプロである西村創氏、プロ家庭教師の安浪京子氏から、今年ならではの中学受験の特徴を教えてもらう。 また、国立情報学研究所の新井紀子氏から「中学受験の向き不向きがわかる」というあるテストについてその全貌を語ってもらう。 中学受験の最新情報とともに、これからの時代に子どもたちに必要なスキル・経験・勉強方法について考えていく。
--#2 中学受験「塾の質低下」「対策の早期化」子どもに与える...
当研究所代表理事・所長の新井紀子の出演情報です。
PIVOT 公式チャンネル ニュースランキング超分析日時:2025年12月24日(水)10:00~【Sponsored by 日本経済新聞社】 経済情報の活用術を様々なトップランナーから学ぶシリーズ「NIKKEI SKILLSET」。今回は、「ニュースランキング超分析 激動の1年から紐解く 2026年のキーワード」をテーマに、4人の有識者とともに今年1年をランキング形式で振り返り、来年注目のキーワードを聞きました。▼出演大槻奈那 (ピクテ・ジャパン シニア・フェロー)中北浩爾 (中央大学 教授)新井紀子 (国立情報学研究所 教授)長内厚 (早稲田大学ビジネススクール 教授)
▼MC国山ハセン
年末年始休業のお知らせ(12月27日(土)~ 1月4日(日))
誠に勝手ながら2025年12月27日(土)から 2026年1月4日(日)まで、年末年始休業とさせていただきます。上記期間中も受検及び受検結果のダウンロードは行えます。ただし、上記期間中の受検中のトラブル対応につきましては、1月5日(月)より順次対応となりますため、その点をご了承くださいますようお願いいたします。
また、受検のお申し込み、頂戴したお問い合わせメールにつきましても、1月5日(月)より順次対応させていただきますが、年末年始期間は多数のお問い合わせを頂くため回答にお時間をいただく場合がございます。ご迷惑をお掛けし誠に恐れ入りますが、予めご了承いただけますようお願い申し上げます。
当研究所代表理事・所長の新井紀子が「BOXIL EXPO 人事・総務展 2026 春」において基調講演を行います。本日より参加申し込みが開始されました。配信日時:2026年3月3日(火)13時10分 ~ 14時00分(オンライン配信です)イベント名:「BOXIL EXPO 人事・総務展 2026 春」演題:AI時代に自走する組織の人材論 読解と創造の力
講演詳細・参加申し込みはこちらから
ー 単なる言語の読解を超え「新たな価値を生み出す基礎」に必要な思想的武器とは
AI活用がビジネスにおいて必要不可欠である時代における、人と組織の「変革の実践」へのヒントを、思考・アクションの両面からぜひお持ち帰りください。
BOXIL EXPO 人事・総務展 2026 春
経営層・人事担当者向けオンラインイベント前線で活躍するビジネスパーソンに向けて、『良い未来が、ちょっと見える』をコンセプトに、明日の戦略に生きるコンテンツを提供する『BOXIL EXPO』シリーズという職種特化型のビジネスイベント
リーディングスキルフォーラム2025 のプログラムが決定しましたのでご案内いたします。
日時:2025年11月30日(日) 13時30分~17時05分
方式:オンライン(ライブ配信および1年間のオンデマンド配信)※フォーラムを視聴するには、事前のお申込みが必要です。こちらのページからお申し込みください。(参加費:無料)
講演内容
13:30-13:35 開会教育のための科学研究所 主席研究員 菅原真悟
13:35-13:45 開会挨拶教育のための科学研究所 代表理事・所長 新井紀子
13:45-14:05 講演:「読解力の『健康診断』-RSTを受検する意義-」代表理事・所長 新井紀子
14:05-14:35 講演:「リーディングスキルテストを中学校で活かす」主席研究員 菅原 真悟
14:35-15:45 授業実践:「『学び方』を学ぶ -理科中学2年生『水の通り道』を題材にして-」(東京書籍 中学2年生理科の教科書より)代表理事・所長 新井紀子RSフォーラム2025用ワークシートのダウンロード
休憩
16:00-16:20 講演:「小中の理科教科書からみた小中学校のギャップ」高崎経済大学 地域政策学部 特命助教 新井 庭子 氏
16:20-16:50 「リーディングスキルテスト(RST)を導入された自治体からの経験談」・インタ...
一般社団法人教育のための科学研究所では、シン読解力を測定するリーディングスキルテストの開発・提供を始めとして、「教育を科学する」ための様々な調査研究、サービスの提供を行っています。その中で、リーディングスキルフォーラムは、シン読解力について最新の研究成果や実践を報告する年に一度の機会です。
今年度もこのフォーラムをオンラインで開催いたします。ご自宅で、あるいはお住まいの地域で、ご視聴いただければ幸いです。
日時:2025年11月30日(日曜日)13時30分~17時00分 オンライン配信(ライブ配信と1年間のオンデマンド配信)
内容:リーディングスキルテストに関連した最新の研究成果報告 リーディングスキルテストを取り入れた自治体等からの実践報告 など
詳細は、弊所ウェブサイト( https://rst-web.s4e.jp/ )で随時、アップデートいたします。 お申込み方法については、近日中にお知らせいたします。
なお、昨年12月1日に開催した「RSフォーラム2024」の視聴は、2025年12月5日までとなります。 ご注意ください。https://rst-web.s4e.jp/blogs/blog_entries/view/257/2c8137141c3272b7e659d7318f421543?frame_id=2052
(関連情報)...
当研究所代表理事・所長の新井紀子の記事が掲載されました。
小学館 HugKum 9月4日付--2018年に『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著書を世に出して、大きな話題を呼んだ新井紀子先生。AIそのものより、「子どもたちが教科書を読めない」という部分が衝撃的、「まさか」と信じない人も多かったのです。以後、50万人もの受検者のデータを集め、「教科書を読めない」子がやはり多いこと、それが「学力テストの点数に大いに関係すること」を新井先生は示しました。ではどうしたらいいのか……?パパママの不安解消に大きなヒントを与えてくれるのが2025年に刊行された『シン読解力 学力と人生を決めるもうひとつの読み方』です。さっそく新井先生にお話を聞いてみました。
前編:進学校でも「教科書が読めない」子が半数! 社会人になったときにドロップアウトも。今から養う「シン読解力」について新井紀子先生に聞いた
後編:タブレットで勉強すると、読解力が身につかず成績がズルズルと下降? 数学者・新井紀子先生がエビデンスから語る「小学生の授業は紙と鉛筆、指さし確認がいい!」
当研究所代表理事・所長の新井紀子の出演情報です。日時:2025年9月8日(月)18時~番組:NewsPicks「2SIdes」 「数学的思考力」の育て方【新井紀子×永野裕之】<出演者>・加藤浩次・新井紀子(数学者)・永野裕之(永野数学塾 塾長)
--AIプロジェクト「ロボットは東大に入れるか?」を率いた数学者・新井紀子氏と、数学教育の第一人者である永野裕之氏を迎え、ビジネスパーソンが今こそ学ぶべき「数学的思考力」の本質を徹底議論。
フェルミ推定に込められた7つの力、数値化の意義、未知の問題を解決するためのアプローチ、そして数学的思考が人生を楽にする理由とは何か。議論を通じて浮かび上がるのは、複雑化する社会で成果を出し続けるための実践的なヒントである。数字に背を向けず、論理で未来を切り拓くために、ビジネスパーソン必見の内容である。
※全編はプレミアム会員のみご視聴いただけます。
昨年、弊所が主催したリーディングスキルフォーラム2024で、模擬授業を行っていただいた井上雄騎先生の授業や取り組みについての記事が掲載されました。当研究所所長・新井紀子、上席研究員の目黒朋子のコメントも掲載されています。
読売新聞 8月1日付 一面 紙と鉛筆 深まる学び※記事閲覧は読売会員限定
「再考デジタル教育」特集の中で、リーディングスキルの習得を目指した、福島県三島町立三島小学校の井上雄騎先生先生の授業が次のように紹介されています。
GIGAスクール構想で小中学生に1人1台の端末が配られた。しかし、端末操作でつまづく児童も目立ち、授業がスムーズに進まないこともあった。そんな時、国立情報学研究所の新井紀子教授らが16年に提唱した「リーディングスキルテスト」を知った。23年以降、指さし、共書きなど、紙の教科書を使った指導法を徹底すると、子供が授業に集中し、積極的に発言するようになった。
弊所が行った井上先生へのインタビューや、指さし確認・共書きなどの授業動画は以下でご覧いただけます。※所属校はインタビュー当時(2025年3月)
実践事例インタビュー:会津美里町立高田小学校
井上先生の模擬授業を見られるリーディン...
当研究所代表理事・所長 新井紀子の著作「シン読解力 学力と人生を決めるもうひとつの読み方」の書評が掲載されました。
日本教育新聞 7月21日付 18面
(書評)シン読解力 学力と人生を決めるもうひとつの読み方
---論理的文章理解の重要性を指摘
「東ロボ」の開発者で、数年前に注目を浴びた『AIvs.教科書が読めない子どもたち』の著者による続編。「シン読解力」というスキルを提唱する。AIの進化は目覚ましく、チャットGPTはあっという間に日常生活に浸透し、流暢な文章を生成している。しかし、現状の生成AIはウェブ上に蓄積されたデータを基にしているので「平気でウソをつく」という。 今や「AIvs.人間」でなく「人間×AI」の時代。AIを使いこなすためには論理的に書かれた文章を読み取る力が必要となる。
当研究所代表理事・所長の新井紀子の出演情報です。
日時:2025年7月18日(金)22時~( TVer で見逃し配信中:8月1日(金)22:54 終了予定)番組:華丸大吉がいく!大人もハマる神授業「ことば読み解き学 編」都内にある国立情報学研究所で「ことば読み解き学」を学ぶ!膨大な情報を瞬時に出してくれるAIと一緒にうまく暮らしていくために必要な「読解力」とは!
◆1時間目: 日常生活になぜ読解力が必要なのか?私たちの生活のあちこちに使われているAI。実はAIが出す情報の全てが正しいわけではない!?得意・不得意なこととは?華大の二人のことは何と答える?◆2時間目:読解テストに挑戦!神ティーチャーが作成した文章をもとに建物内に隠されたアイテムを探せ!無事に見つけることができるのか!さらに神ティーチャー考案のリーディングスキルテストに挑戦!テレビの前で一緒に考えてみよう!◆3時間目: 日常で出来るトレーニングとは?オセロを使ってトレーニング!ポイントを多く獲得できるのは果たして・・・!?
放映後は TVer で見逃し配信があります。
当研究所代表理事・所長の新井紀子の記事が掲載されました。
現代ビジネス 6月11日簡単な文章すら読めない社会人が大量発生したのは“ゆとり教育”のせいだった?…AI時代にこそ必須になる《シン読解力の重要さ》
--説明書が読めない、文章が書けない、そもそも自分が読めていないことに気づけていない──社会人に蔓延する「文章を正確に理解する力=シン読解力」が不足している根本は、学校教育にある。R S T(リーディングスキルテスト)開発者であり、国立情報学研究所社会共有知研究センターのセンター長・教授である新井紀子氏が提言するのは、 “シン読解力の再教育”だ。前編記事『「過半数の大人は新聞記事が読めない…」有名数学者・新井紀子氏が語る日本人の《読解力崩壊の驚くべき実態》』に続き、シン読解力の低下を招いた“ゆとり教育”の問題点や、シン読解力を向上させるためのトレーニング方法などを、新井氏に聞いた。
当研究所代表理事・所長の新井紀子の記事が掲載されました。
現代ビジネス 6月11日「過半数の大人は新聞記事が読めない…」有名数学者・新井紀子氏が語る日本人の《シン読解力崩壊の驚くべき実態》
--企業の現場で「業務マニュアルが読めない」「メールの内容が理解できない」といった驚くべき事例が報告されている。「文章を正確に理解する力=論理的読解力」を測定するためのリーディングスキルテスト通じて明らかになったのは、想像以上に多くの社会人が“読めていない”という現実だった。なぜこうした事態が起きているのか。2017年にリーディングスキルテストを開発した国立情報学研究所社会共有知研究センターのセンター長・教授である新井紀子氏に詳しい話を聞いた。
【後編】簡単な文章すら読めない社会人が大量発生したのは“ゆとり教育”のせいだった?…AI時代にこそ必須になる《シン読解力の重要さ》
(最近、メディアから「アレクサンドラ構文について教えてほしい」という要望が多く寄せられるので、この記事で解説します。)
「アレクサンドラ構文」はネットミームの一種です。学術上は「アレクサンドラ構文」という構文が存在するわけではありません。「アレクサンドラ構文」は、リーディングスキルテストの6分野7項目のうち、文の構造を正確に把握する「係り受け解析」の能力を測るために考案された以下のテスト問題を指すようです。
正解は「Alex」です。
「Alexandraの愛称は(Alex)である。」
問題文は特に長いわけでも、専門性を要求するわけでもありません。読めばわかるはずの文章です。ところが、中学生の正答率は38%に過ぎませんでした。
この問題の正答率の低さへの驚きや危機感から、この問題に「アレクサンドラ構文」という名称がネット上でつけられたと考えられます。例文として、「アレクサンドラ構文も読めないような人が多いから、SNS上でのいざこざが絶えないのではないか」などがあります。
この問題が最初に紹介されたのは、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著、東洋経済新報社、2018年出版)です。「アレクサンドラ問題」の...
教育のための科学研究所(所在地:東京都中央区、代表理事・所長:新井紀子)と東京書籍株式会社(本社:東京都北区、代表取締役社長:渡辺能理夫、以下、東京書籍)は、弊研究所が提供する「リーディングスキルテスト」(以下、RST)を、東京書籍が提供する評価と学びのサポートシステム「マイアセス」上で受検し、結果を閲覧できるサービス「RST-マイアセス連携版」を開始しました。RST は、教科書や新聞など、知識や情報を伝達するために書かれた文書の意味を正確にとらえる力(シン読解力)を測定・診断するツールです。また、マイアセスは、東京書籍が提供する「調査」「結果閲覧・分析」「学習・指導」のサイクルに沿って、蓄積されたデータから効率的な指導と学習をサポートする、評価と学びのサポートシステムです。RST-マイアセス連携版では、東京書籍の販売ルートやマイアセスの ID(total ID)を利用できるため、学校・教育委員会が RST の受検を申し込む際の手続き、および、受検する児童生徒のID入力作業の負担が軽減されます。また、受検結果はマイアセスのフォーマットにあわせて表示されるため、レーダーチャートを用いた問題タイプ別の能力値比較等が加わります。【東京...
当研究所代表理事・所長の新井紀子のコメント(「AIに適切な指示を出し、その回答を自ら読み解いて判断できる本質的な理解力や読解力が必要」)が掲載されました。
日本経済新聞 4月5日米中AIの「東京大学合格記」 私たち人間はなぜ学ぶのか(記事閲覧は会員限定)
--『人工知能(AI)に東京大学の入試問題を解かせた日本経済新聞などの共同調査で、米中の最先端の基盤モデルはほぼ全学部で「合格判定」を獲得した。調査協力を得たライフプロンプト(東京・新宿)や河合塾の関係者の証言をまとめた。AIが東大生に匹敵する学力を身につけた今、人間は何のために学ぶのだろうか。
(写真提供:TED 新井紀子が2017年にTEDで講演をしたときの模様)
複数の言語の間で切り替えが行われることを「コードスイッチング」といいます。バイリンガルは、2つの言語(例:日本語と英語)の間をコードスイッチングしながらコミュニケーションをしている、と考えられます。
実は日本語の中でも、コードスイッチングは必要です。
「学習言語と生活言語」でもご紹介したように、学習の場面で使われる言語(学習言語)は、生活の中で使われる生活言語とは似て非なるものです。生活言語は、誰もが自然に身に付けることのできる言語ですが、学習言語は教育を通じて身に付けることができる言語です。生活言語と学習言語では、語彙や文法も異なります。同じ言葉でも生活言語と学習言語で使われるときに意味が違うこともしばしばです。(日本語と英語のように)生活言語と学習言語では文化背景や価値観も異なります。
そのため、授業に臨むときは、生活言語から学習言語に「コードスイッチング」する必要があります。
また、学習言語の中でも、各教科ごとに言語に違いがあります。国語と数学や理科では、分野として目指すことが違います。その結果、価値観や文化が異なり、語彙や文法も変わってくるのです。学習言語間でのコードスイッチン...
当研究所代表理事・所長の新井紀子の記事が掲載されました。
東洋経済オンライン 3月13日「教科書は読めて当たり前」が子どもをダメにする~学校では教えない、学力を決める「シン読解力」
--AIの限界と、日本の中高生の多くが中学校の教科書を正確に読めていないことを明らかにした衝撃の書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』から7年。読解力を計測するリーディングスキルテストの受検者も当時の2万5000人から50万人に増え、日本人の読解力について、より普遍的な研究と分析が進んだ。「文学を鑑賞する」「行間を読む」こととは異なる「シン読解力」とは何か。新井紀子氏の新刊『シン読解力』から一部抜粋・編集してお届けする。
今、学校では、「教科書を中心に据えた授業」はほとんど行われていません。その問題点を、学びの空間のフェアネス(公正さ、公平さ)の観点からお話ししようと思います。
そもそも「教科書を開かない授業」がどこでどのように始まり、広まったのかはよくわかりません。1970年代くらいまでは教科書を開いて授業をするスタイルが主流でしたので、1980年代以降のどこかではないかと考えられます。
教科書を開かない授業の最大の問題点は、教師の知識や創意工夫と、学習者の狭い経験知に、正しさの根拠が委ねられてしまうことにあります。教師の創意工夫が、学習指導要領の中に正しく位置付けられる、科学的なものであればよいのですが、現状は必ずしもそうではありません。むしろ非科学的で思い込みに基づく授業を、管理職や評価者が「工夫があってよい」と評価する場面に何度も出くわしました。
そのような授業では、子どもたちは正しさの根拠を「教師の考え」に求め、教師の顔色を窺って物事を判断し、学びの空間からフェアネスが失われがちになります。例えばある4年生の授業でこんなことがありました。
先生「夜空にはたくさんの星が光っているけれど、実は星の光が地球に...
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